高血圧の危険性とは?
なぜ治療が必要なのでしょうか?
「高血圧と診断されたけれど、いたって元気です」という方がいらっしゃいますね。それなのに、なぜ治療が必要なのでしょうか? 実は高血圧の場合、自覚症状があるかないかは、あまり重要ではないのです。
血管をホースにたとえてみましょう。水道につないだホースに水を流し、口の先を押さえて水を大量に流すと、中の水圧が高くなりますね。そうすると何が起こるでしょうか? 新品のホースはまだしも、古くて弱ったホースなら、すぐにひび割れが生じたり、破れてしまう危険性が出てきます。血管にも、これとまったく同じことが言えるのです。
たとえどんなに厚くて強い血管でも、長期間、高い圧力がかかれば傷んできます。それでなくとも、人間の身体は年齢とともに衰えるものですから、血管が破れる確率はどんどん高くなってゆきます。だからこそ、血圧を危険性の低い数値にまで下げる必要があるのです。血圧の治療は、将来起こりうる動脈硬化による病気、すなわち心筋梗塞や脳梗塞に対する「保険」であると考えてください。血管に無理をさせないで、できるだけ長く良い状態で使えるようにするということなのです。
高血圧の原因
高血圧の原因には遺伝的体質や過度の塩分摂取、肥満などが挙げられますが、いくつかの要因が複雑に重なっている場合がほとんどです。まずは自分の血圧を知ることから始めましょう。私は皆さんに、朝起きた時と、就寝前の1日2回、ご自身で血圧をチェックしてくださいとお願いしています。血圧計は、もっとも安定した測定のできる腕に巻くタイプをお奨めします。一般に血圧は、眠っている間は下がり、起きると上がります。高血圧の人は、目覚めたとき急激に血圧が上がることが多いので、朝、起き抜けに心筋梗塞や脳梗塞をおこしやすいのです。現在、この「早朝高血圧」の予防は、私たち医師の大きな命題となっています。日常生活を普通に送っている方であれば、血圧は低いほうが安全といえるでしょう。ただし、病気で急に血圧が下がった場合は危険を伴いますし、低血圧のせいで立ちくらみを起こすといった場合は注意が必要です。
高血圧治療を始めるにあたっては、ご自身の生活パターンをよく見直し、医師とじっくり相談しながら、適切な治療法を探り、経過を見ていくことが大切です。定期的に薬を飲むことに抵抗を感じる方もいらっしゃいますが、薬の服用も、食事と同じようなものだと考えてみてはいかがでしょうか。
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